内痔核(いぼ痔)に対して注射で治す治療を始めました。
ジオン注射=ALTA療法(アルタ療法)という治療です。
内痔核(いぼ痔)は従来手術で切り取ることでしか治すことができませんでしたが現在は痔に注射をすることで治すことができます。手術で切除すると翌日以降の痛みが強く数日は痛みのために生活に支障が出ます。また、抗凝固剤(血をサラサラにする薬)を内服している患者様は抗凝固剤を休薬しないと手術ができませんでしたが、局所麻酔で行うのでその必要もありません。
痔について
肛門の病気である痔にはいくつかの種類があります。主に以下の3つにわけられます。
1.いぼ痔 (内痔核 外痔核)
肛門に腫れ状のものができる病気を一般に「いぼ痔」といいますが、できる場所によって内痔核、外痔核と分けられます。医学的には歯状線(しじょうせん)という部分を境にそこよりも内側にできれば内痔核 外側にできるものは外痔核といいます。ジオン注射の適応になるのはこの内痔核というものです。
2.切れ痔 (裂肛)
排便の際に硬い便が肛門を通過することにより肛門の一部が切れることによって起こります。鮮血という鮮やかな血が排便の際にでます。痛みを伴うことがほとんどで一度切れると治るまで何度も出血することがあります。
3.あな痔 (痔瘻)
肛門の手前は直腸と呼ばれここの壁には陰窩といわれる隙間のようなものがあります。ここに大腸の中にいるばい菌が入り込むことによって炎症を起こします。炎症を起こすと膿ができその膿が肛門の皮膚の下にまで広がり肛門周囲膿瘍という膿のたまりを作ることがあります。この肛門周囲膿瘍は切開をして膿を出す治療が一般的ですが肛門周囲膿瘍が治癒した後に直腸と皮膚に通り道ができてしまうことがあります。これがあな痔といわれるものです。あな痔にも通り道が1本のものや複雑に何本もあるものまで様々です。
ジオン注射は以下のような方に効果的な治療です
- 塗り薬や座薬などの薬の治療でよくならない
- 排便の際に肛門からでてくる
- 排便のたびにいぼ痔から出血する
従来手術治療が選択されるような患者さんでしたがジオンという薬を患部に注射して痔を小さくしていく治療です。平成17年5月より保険適応され使用可能になっています。ただ、しっかりとした痔の診療経験とジオンの講習を受けて資格を持った医師しか行うことができません。
ジオン注射の流れ
- 横向きに寝て、脚をかかえこむような姿勢を取ってもらいます
- 肛門の周囲に局所麻酔をします。(場合によっては脊椎麻酔という腰の麻酔のこともあります)
- 1つの痔に対して4回に分けてジオンを注射します。
- 注射部位をマッサージして終了です。
翌日には痔の縮小が認められ1週間ほどで痔が消失もしくは脱出がなくなります。
ジオン注射が受けられない方
以下の方は受けることができません
妊婦さん 小児 透析を行っている方 前立腺などの治療で放射線治療を行っている方
痔が嵌頓している方(出っぱなしで戻らなくなっている)